「うんち」



うんちはくさい
うんちはきたない


ぶり ぐにょぐにょ
きょうもいっぱいでた
ぶり ぐにょぐにょ


うんちくん
あすはつぶつぶうんちにしてね
なっとう食べるから



これは小学2年生の女の子Cちゃんが
生まれて初めて作った詩です。


よく見ると反復法や擬態語が使われていたり、
呼びかけの形で最後の文を纏めていたりと、
素晴らしい出来映えですよね。



Cちゃんと私が出会ったのは、
Cちゃんが小学校に入学してすぐ、
確か入学式の次の日だったと記憶しています。


Cちゃんは外遊びが大好きな女の子で、いつも服も顔も泥だらけ。
髪の毛の中にまで砂が入っていました。
Cちゃんが私の膝の上によじ登り、頬ずりしに来た時、
しまった!着替えを持ってくるんだった(汗)
と、ちょいちょい後悔しました。



このCちゃん、うんちの絵を描くのが大得意で、
テキストやノートには、たくさん力作を描いています。


「落書きちゃう!芸術だや!」


だそうです(笑)



時々自作の歌も歌います。
タイトルは「うんちはすごい」です。


小さい子って、なぜかみんなうんちが好きですよね。



そんなCちゃんですが、頭脳はずば抜けて優秀。
小2なのに、なんと小学校の高学年用のテキストを利用しているんですよ。


Cちゃんは乱雑に散らばった情報の中から手掛かりを見付け、
謎解きのように答えを見付けに行くことが大好きなのです。



ある日のこと、
なんにでも興味を持つお年頃のCちゃんに、
詩集を見せたのです。


Cちゃんは案の定、「なにこれ!なにこれ!」と、興味津々です。


先入観を持たせたくなかったので、
「これは詩よ」とだけ言っておきました。


あとは自分で特徴を抽出し、自由に書いていけばいいだけのこと。
詩の定義なんて後からついてくるものですからね。



「詩? し? ふうん  へんななまえ~」



なるほど。
幼児の言語世界は2~4音が多いので、
1音だけの「し」が、妙に感じたのでしょう。



さて、Cちゃんは生まれて初めて
「詩」なるものを試食することになりました。



Cちゃんはいくつか読むうちに
いろんなことに気が付きました。


ケロケロ、ギーギーなどの擬声語・擬態語が多い
物がしゃべっている
ほとんどひらがなで書かれている
いくつかのかたまり(連)に分かれている
節をつければ歌えそう


等々


見事な解釈ですね。
小さい子供の持つ鋭い感性と洞察力には、
我々大人は逆立ちしてもかないません。



「じゃあCちゃんも書いてみる?」

「うん!かくかく!!」



かくしてこの小さな詩人が初めて作った詩が、
先頭に記載した「うんち」というわけです。



それにしても、「うん!かくかく!!」と言って
鉛筆を握るやいなや書いた文字が
いきなり「うんち」ですよ、みなさん。
いやはや、参りましたのひとことです。



そのCちゃん、今、大阪の名門私立中学の三年生です。
先日、「うんちの詩のことを覚えてる?」と聞いたら、
「はい、覚えてます」と、苦笑いしていました。


姿はすっかり乙女になっちゃいましたが、
発想力は同時のまんま、
とても自由で伸び伸びしています。


そのせいか、数学や理科がずば抜けてよくできるのです。
将来どんな職業に就くのかとても楽しみです。


そしてもっと将来、
Cちゃんの結婚式の披露宴で、この詩をスクリーンで疲披露してやるのが
とても楽しみです。



「先生、風呂敷に印刷して引き出物にするって手もありますよ!」



悪ノリのお好きなお母さんがそうおっしゃいました(笑)



さて、うんちと聞いて思い出すのが
天才音楽家のモーツアルトですね。
彼がが発達障害だったことは有名ですが、
うんち大好きスカトロジーとしても有名です。


大人になって従姉妹に送ったうんち三昧の手紙は、
モーツアルトの「精神発達の異常」「性癖の異常」といったものを
考察する材料になっているようですが、
私はCちゃんが声高らかに自信作「うんち」を披露する姿を見て思いました。
この年頃の澄んだ魂を、モーツアルトはずっと持っていたに違いない、と。


あの気の休まる暇を与えないような華やかな旋律は、
定型発達者なら成長の過程で知らぬ間に失くしてしまう感性を
当たり前のように持ち続けていた証拠、そしてその産物。


いい年をしてうんちうんちと平気で叫ぶことのできた彼だからこそ、
創れたものなんだと、しみじみ思いました。



~モーツアルト(当時22歳)が従姉妹に宛てた手紙~

(訳)1778年2月28日
わが愛しの従姉妹様へ
2週間後にはパリへ発つけど、
今日もうんちをしておきます。
もしそちらのアウクスブルクの町から
返事をくれるつもりなら
私が受け取れるように早く書いてください。
でないと、もしかして私が発った後だと
受け取るのは手紙の替わりに
うんちになります。
うんちだ! うんちだ!
おおうんち!
ああ、なんて甘い言葉だ。うんち